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定例研究会報告 2009年「気・血・津液について」
2009年 栃木中医薬研究会では気・血・水(津液)の研究に取り組んでいます。
■第6回定例会報告 2009年7月
■第5回定例会報告 2009年6月
■第4回定例会報告 2009年5月
■第3回定例会報告 2009年4月
■第2回定例会報告 2009年3月
■第1回定例会報告 2009年2月
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テーマ・・・血虚(血の不足)
『血は女性の根本:血の重要性と,補血薬の応用』
報告者・・・さくら堂漢方薬局 毛塚重行
栃木中医薬研究会7月の定例会では,血(けつ)の不足「血虚(けっきょ)」をテーマに,中医学講師の王愛延先生にお越しいただき勉強会を行いました。血は,「気(き)」や「水(すい)」とともに体を構成する重要な物質であり,全身に潤いや栄養を送り届けています。月経のある女性にとっては,血の状態が大きく心身に影響を与え,とくに生理不順や更年期障害,不妊症などの問題に直結します。そのため『血は女性の根本』とも言われ,血液を大切に保持していくことが非常に重要です。そこで女性に多見される病症を中心に検討を行いました。
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| 血の生成と働き |
血は飲食物から吸収した栄養や,水などが合わさって生成されます。また血は肝に蓄えられ,心によって全身に送られます。そして全身の皮毛・経絡・筋骨・臓腑など全ての組織器官に栄養を与えます。
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| 血の不足=血虚でみられる症状 |
血が不足した状態を血虚といいます。血虚ではめまいや血色不良を生じやすく,また月経や血を蓄える肝の機能に大きな影響を与えます。肝は血を蓄えることの他に,筋肉や神経の働きを支えており,また,目との関連が深い臓です。そのため肝の蔵血量の減少(肝血虚という)では,筋肉のつり,神経過敏(イライラ,自律神経失調,のどの異物感など),目の疲れや乾燥といった症状が現れやすくなります。また,月経量は少なくなり,甚だしい場合には無月経となります。
さらに,血流をつかさどる心も血に栄養を与えられており,その作用が低下すると(心血虚という),心の働きである血行や思考・睡眠などに影響し,動悸・不眠・不安感・夢が多いといった症状を来します。
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| 血虚に用いられる生薬=補血薬 |
血虚に対しては血の不足を補う生薬を用います。それらの生薬を補血薬と呼びます。補血薬に分類される生薬はあまり多くなく,それぞれの個性が際だっています。代表的な物を以下に挙げます。
生薬・・・働き
当帰(とうき)・・・補血、活血、止痛
熟地黄(じゅくじおう)・・・補血、補腎陰、補腎精
白芍(びゃくしゃく)・・・養血、柔肝、平抑肝陽
阿膠(あきょう)・・・補血、止血、潤肺
何首烏(かしゅう)・・・補血、潤腸、消炎
熟何首烏(加熱加工)は補腎陰、補腎精(白髪に繁用)
竜眼肉(りゅうがんにく)・・・養血、安神、補益心脾
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| 補血方剤 |
補血を目的とした方剤の代表は四物湯(しもつとう)です。その構成は,補血薬の当帰,熟地黄,白芍,そして血流を促進する活血薬の川芎(せんきゅう)から成ります。さらに四物湯をもとに様々な処方が開発されました。たとえば活血薬を加えた桃紅四物湯(とうこうしもつとう),芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)。止血作用を強化した芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)。補気薬を加えた聖癒湯(せいゆとう)や十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)。血流を改善し関節痛などを治療する独活寄生湯(どっかつきせいとう),疎経活血湯(そけいかっけつとう)。皮膚の乾燥・痒みに多用する当帰飲子(とうきいんし)。補血の当帰を核に,他の補血薬や補気薬,止血の阿膠,活血の川芎などを配合した婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)などが挙げられます。
また四物湯類とは異なり,心血虚にも対応する方剤として帰脾湯(きひとう)や加味帰脾湯(かみきひとう)などがあります。そのほか,腎精(人間の根本的なエネルギー)を補う生薬を配合した参茸補血丸(さんじょうほけつがん)や双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)なども挙げられます。 |
| 不妊症・月経不順への応用 |
現代社会に於いて不妊治療は重要な医療課題となっています。西洋医学の分野ではめざましい進歩がある一方,ホルモン剤の副作用や機械的な治療,体質軽視への弊害などに対する批判が常にあります。そのため漢方薬で体質を改善し,より妊娠・出産しやすい健康的な体をめざしたいとする人も少なくありません。実際,不妊症でお悩みの人は,月経不順や月経痛のほか,気力・体力の低下,ストレス過多,胃腸虚弱など,様々な状況を抱えており,全体的に対処する漢方の考え方は理に適っていると言えるでしょう。
不妊症への漢方的なアプローチは,このように全身の状況の改善を図りながら,月経の調子を整えて行きます。漢方薬の選択は体質などによって各人各様ですが,月経の調子を整え,妊娠に有利な体質をめざす上で,当帰は非常に重要な生薬となります。月経では血液の流出があり,その周期は女性ホルモンによってコントロールされます。補血を施すということは,失われた血液を補うだけでなく,女性ホルモンのバランスなどにも,良い影響を与えることがわかっています。ですから補血は,月経周期を改善したり,妊娠・出産・更年期などをより順調に経過するために役立つのです。当帰は補血薬の代表であり,さらに穏やかな活血作用を伴い,また便秘や冷え性の改善にも役立ちます。ですから逆に軟便気味の人や,のぼせやすい人に用いる場合には,用量に注意し,他薬との配合割合を十分検討する必要があります。
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| 筋肉の“張り”“つり”“こり”“痙攣”“痛み”などへの応用 |
肝に蓄えられる血は筋肉を養います。血虚では筋肉がつりやすくなり,こむら返りや,部分的な痙攣などを起こしやすくなります。さらに更年期以降の女性では,女性ホルモンの減少により筋肉が固くなる傾向があり,肩や背中のこり,痛みなどを生じやすくなります。このような場合にも,補血・活血・止痛に優れる当帰や白芍を中心とした方剤が有効です。
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| その他 |
カゼの後期や何らかの原因で,咽が乾燥し,声がれや空咳が出る場合,通常は粘膜を潤す働きのある麦門冬(ばくもんどう)などを中心とした方剤が用いられますが,体力が低下し,冷える傾向がある方などでは,血虚の体質がよく見られます。そのような時には,当帰や阿膠を使用すると,血色が良くなり,咽が潤い,症状が改善します。
貧血や老人性皮膚掻痒症などでは,補血薬は不可欠です。また加齢や疲労の関わる不眠・動悸・不安感・健忘には,精神を安定させる補血薬の竜眼肉や酸棗仁(さんそうにん)が活躍します。
補血薬の基本処方は四物湯ですが,状況に合わせて様々な加減法が用意されています。また血虚以外の諸条件を考慮して,さらに様々な生薬や方剤との組み合わせを検討することにより,一人一人にあった治療法を提供できるのが漢方の特徴といえるでしょう。
【関連する補血製剤】
●婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
成分・・・当帰、黄耆、地黄、茯苓、芍薬、川芎、甘草、党参、阿膠
効能、効果・・・更年期障害による次の症状
頭痛,肩こり,のぼせ,めまい,耳鳴り,貧血,腰痛,腹痛,冷え症
生理不順,生理痛
●帰脾錠(きひじょう)
成分・・・黄耆、白朮、茯苓、遠志、甘草、木香、当帰、酸棗仁、竜眼肉、党参
効能、効果・・・貧血、不眠、健忘
●参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
成分・・・黄耆、牛膝、当帰、人参、竜眼肉、鹿茸、杜仲、巴戟天
効能、効果・・・次の場合の滋養強壮
虚弱体質,肉体疲労,病後の体力低下,胃腸虚弱,食欲不振
血色不良,冷え症
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テーマ・・・気虚(気の不足)
『気を補う補気薬の代表方剤と使い分けについて』
報告者・・・天明堂薬局 中山貴央
栃木中医薬研究会の2009年6月の定例会では、中医学講師の王愛延先生を招き、気虚状態に使用する代表的な方剤を処方構成の点からタイプ分けし、より効果的な使用を目的とした講義が行われました。中医学漢方ならではの処方に対する細かい認識を生かした有意義な時間でした。
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| 補気薬の使用経験をふりかえる |
方剤を一つ一つ、参加された先生の使用した印象や経験を発表し、王先生のご意見を頂くかたちで進められました。補気薬は使用する方が多いため、さまざまな使用経験が発表され、見識が広がる時間となりました。
疲労や食欲不振、やる気の低下などなど、多くの方が経験する気虚は日常生活の質の向上、さらにはアンチエイジングの観点からもニーズの高い分野です。ドリンク剤やカフェインで一時的に体を興奮させるのではなく、内臓系を強化し、疲れにくい体にするというのは中医学ならではのメリットと思われます。
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| 気虚とは? |
気虚とはとても幅広い考え方で、具体的に見れば脾気虚や心気虚、腎気虚、肺気虚、肝気虚(あまりみられない)など、細分化され症状もまた異なります。が、私たちには生まれながらに親から授かる気(先天の気)と、生まれたのち食事や呼吸により生み出す気(後天の気)があります。そのため、後天の気を作るのに大きな役割を担う脾はより十分なケアが必要であり、生活習慣の影響も受けやすいため大切にしたいものです。先天の気が貯蔵されている腎は年齢とともに気虚が進んでいくため、老化予防の点からもケアが必要でしょう。
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| 補気薬の代表的方剤の使い分け |
参苓白朮散、香砂六君子湯、補中益気丸、玉塀風散、生脈散を中心に方剤組成の違い、中医学的効能、具体的な適用症状、注意点を細かく勉強しました。保険適用されているものからされていないものまで様々な補気薬があり、より適した方剤を使用しなくては効果を発揮できず、また、同時に生活習慣における注意も必要であることがわかりました。薬を勧めたらそれで終わりではなく、生活習慣を省みることに本当の健康があることに気付かされました。そんなところも中医学漢方の魅力です。
方剤に関する詳しい内容はお近くの栃木中医薬研究会加盟店で、お気軽にお問い合わせください。
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テーマ・・・気滞(気の働きの停滞)
『気滞のうらにある病理を探り出し適切な中医薬を選択する重要性』
報告者・・・光陽台薬局 秋元清昭
気滞のうらにある病理を探り出し適切な中医薬を選択する重要性 栃木中医薬研究会の2009年5月の定例会では、中医学講師の陳志清先生に「気滞」に関連する病理と中成薬の使い分けについて講義して頂きました。
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| 理気薬の活用経験 |
参加者が各自の症例報告を行いました。婦人科疾患、更年期障害、うつ病、腰痛等幅広い症例報告となりました。気滞がいかに多種多様な症状が現れるかということなのでしょう。
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| 気滞の特徴 |
そもそも「気」とはなにか?から講義は始まりました。気は生命力とかエネルギーの一種とかいわれるが、そうではなく総合的な概念で、気の中身は非常に豊富で、気滞も範囲がとても広いとのことでした。気滞に使用する中成薬は逍遥丸、開気丸、半夏厚朴湯等いろいろとありますが、その複雑さゆえ実際に使用してみると、教科書通りにその効果を発揮することができない場合がよくあり、成果をだすには経験も大切なことを強調されました。
“気が変わりやすい”とよく言いますが、気滞による痛みの場合は、その場所が移動したり、痛むかと思えば痒みとして感じたり、時間と共に痛みが増したり軽くなったりと変化しやすく、また薬の効果は良かったりそうでなかったりと不安定であるのが特徴であるとのことで、これは教科書にもよくでています。痛みは最終的に脳が関知するもので、あれこれ変化するのは脳の痛みに対する認識の乱れということができる。つまり気滞とは気の乱れであることを教わりました。
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| 気滞の多種多様な病症状 |
現代社会では、過剰な精神的ストレスがかかりやすく、特に肝の気鬱(気滞)を起こしやすく様々な症状が現れます。中国の名医といわれる老中医が、好んで使用する生薬の一つは、気の動きをよくする柴胡で応用範囲の広い生薬とのことです。気の生理作用は推動作用(ものを動かす)、温煦作用(体を温める)、防衛作用(外からの侵入をふせぐ)、固摂作用(漏れることをふせぐ)、気化作用(ものを変化させる)がありますので、その動きが滞れば様々な症状が現れます。
また人体を構成する物質である気血水は、お互いに密接にかかわりあっており、たとえば気と血の関係では、「血は気の母」といわれ血液は気を載せて動き、「気は血の帥」であり気は血液をひっぱって動くといわれ、気は常に血と一緒に動きます。それ故、気滞は同時に血瘀を生じ易く、気滞があれば血瘀も考慮する必要があります(気滞血瘀)。また気滞により水のめぐりが悪くなり、浮腫を生ずることもあります。このように気が滞ることにより、いろいろなところに影響し多種多様な症状が現れます。
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| 女性によく使われる逍遥丸 |
女性を治すには、四物湯と逍遥丸があればよいという記載が、中国の婦人科専門の古典にあるそうです。誇張された表現ですが、女性には補血と理気が大切だということなのでしょう。女性では特に生理があり「血は常に不足し」、「気は常に余る」といわれます。しかし気の余りは気が充実している訳ではなく、相対的に余っているように見えて、実は気が不足(気虚)していることがあります。肝の気滞によく使われる逍遥丸の構成生薬を見てみると、養血薬、疏肝薬、健脾薬が配合されて特に女性にはピッタリの中成薬といえます。勿論男性にも使用します。
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| 昇降出入と昇清降濁 |
気滞はいろいろな臓腑(肝、肺、脾)と関わり、特に肝と胆と密接な関係があります。気滞は、気機(気の運動)である昇・降・出・入の異常で、例えば肺は降を主っていますが、気の乱れが生じると咳や呼吸困難が現れます。この時は、気逆と気滞は同時に現れています。つまり気が行くべき所に行けないので滞るということなのです。喘息の咳で理気剤が効果をあげるのはこういう時なのでしょう。脾と胃は表裏の関係にあり、脾気は昇を、胃気は降を主っています。この気がみだれると消化や吸収に影響して下痢や悪心嘔吐が現れます。
またその他の臓腑にも影響しいろいろな病状が現れます。過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎は、この気の乱れにより腹痛や下痢を起こす場合があります。 この気の乱れを改善する代表生薬は木香です。
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| 中医学における肝の働きと腎とのかかわり |
「肝は疏泄を主る」といい、全身の気をすみずみまで行きわたせ、精神状態を安定させるはたらき同時に、消化を助ける作用がある。疏泄の失調が気滞である。そして「血を蔵す」といい、血を貯蔵補給する作用があるため血とのかかわりが大きい。女性は血液不足になりやすく、疏泄に影響し肝気鬱結(気滞)が起こりやすい。
血の病態には、血虚(血の不足)と血瘀(血の滞り)がある。肝気鬱結で瘀血になり、消化機能低下で血の不足になると、「精血同病」といわれ「肝腎同病」となる。うつ病や、更年期障害、思春期うつ病になりやすいのは、肝のみならず腎(七の倍数の年齢が節目となる)とのかかわりも深い。従って補腎(腎を補う)も必要である。
気滞の多様性から中成薬の選択もよく考える必要がある。たとえば理気剤で気のめぐりをよくすると、消化機能が良くなり気血も満たされ、元気も出てくると同時に免疫も高まることがよくある。胃腸が弱い人が理気剤で良くなるのはそのせいである。
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| 気滞に使用する中成薬も多種あり症状に合わせて選択する |
気滞は普遍的に存在して、いろいろな形で症状が現れる。症状に合わせた理気剤を選ぶ必要があるが、柴胡剤が良く使用される。理気剤により気を消耗したり、燥性が強く現れたりすることもあるので注意が必要である。その点柴胡剤のうちでも逍遥丸は一番使いやすい。胃痛を伴う症状、腹満や胸の張り、不眠、のぼせ、めまい等症状により中成薬も使い分けが必要である。プロラクチンが高い場合、肋間神経痛や帯状疱疹後の後遺症、子宮内内膜症の痛みに応用できる中成薬もある。肝気鬱結が進むと「肝鬱火化」となり熱症状が現れるので、その時は熱を冷ます加味逍遥散を考えることが必要である。
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| 木を見て森を見ないことの再確認 |
以上、気滞があると必ず瘀血があると考えて良いこと。その時は気鬱が主か、瘀血が主かにより選ぶ中成薬も変わってくる。また逆に瘀血がひどくなると気滞を引き起こしたり、気虚から気滞になっている場合も考慮すること。体の構成物質の基となっている気血水の関係は複雑に絡み合っていること。症状の原因の本元をつかむことの大切さを、中医学の基礎をあらためて学ぶことにより確認することが出来ました。
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テーマ・・・瘀血(血流の停滞)
『血をイキイキさせるための血液総合対策には「活血薬」を』
報告者・・・雙玉堂滝澤薬局 滝澤澄子
栃木中医薬研究会の2009年4月の定例会では、中医学講師の陳志清先生に、「瘀血」に関連する疾患に対して活用することが多い「活血薬」を中心に、その効果をひきだすための総合的な活用方法や、活血作用のある処方の使い分けなどを講義していただきました。活血薬の効果のもつ意味、応用範囲の広さ、おのおのの処方構成のすばらしさなどを再認識した勉強会でした。
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| 活血薬の活用経験 |
前回同様、陳先生の講義に先立ち、各種活血薬を扱ってきた中での、各会員店の印象に残っている症例をはじめ、どんな疾病で効果が良かったか、それぞれの活血薬はどのような特徴をもつかなど、意見を交換しました。活血薬は、対象となる人が多いため、さまざまな意見が飛び交いました。
「瘀血」は、誰にも容易に発生することをふまえると、瘀血の予防薬として、活血薬は幅広い層の人に利用していただけるものという意見が多数でました。特に、糖尿病の合併症予防や、血圧に不安を抱える人などには最適です。また、瘀血は病気や老化の引き金になることを考えると、「抗老防衰」(アンチエイジング)にも役立つものといえそうです。
また、さらに、病気になりつつあり、より積極的に体質を改善し治療したい場合にも、活血薬は、「気」や「陰」などの虚を補う処方とともに組み合わせ、より体調を整えるのに役立つことがわかりました。腎機能が低下した方のクレアチニン値が安定したり、西洋薬で下がりにくい最低血圧が下がりやすくなるなど、体全体をみて処方を考える「弁証論治」を活用する中医学ならではのメリットではないでしょうか。
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| 中医学の「瘀血」とは? |
中医学では、前回の講義でもでたように、整体観念をふまえて、気・血・水の概念の中で、体が部分的のみならず全体的にどういう状態か考える必要があります。中医学でいう「瘀血」とは、血流が悪い、血液の質が悪い(汚れている)などをさします。また、脳梗塞やけがなどから血栓ができている、動脈硬化など血管が弱くなっている、子宮内膜症など本来の場所から外れてしまった血液、筋腫などのしこりなども含みます。さらに、慢性疾患には必ず瘀血がある「久病入絡」という発想や、病理産物として発生した瘀血がほかの病気をひきおこす「瘀血は万病のもと」という考えは、中医学ならではのものといえるでしょう。
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| 現代医学の「瘀血」の解釈は? |
現代医学的に説明すると、全身あるいは局部の循環障害から、血液が濃縮され、粘稠となり、滞り、固まって、新陳代謝異常の病理状態をひきおこしている状態です。血小板凝集性と粘着性も増強しています。この状態は、動脈硬化、高脂血症、狭心症、高血圧、糖尿病など生活習慣病によくおきる病理変化です。
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| 「瘀血のタイプ」 |
先生は、血の流れを道路や自動車などの物流にたとえて説明してくださいました。スムーズに物流が運行されるためには、自動車の性能や道路の整備、きちんとした交通ルールなどが必要で、管理方法は状況に応じてさまざまです。人の血液の流れも、これと同様で、流れをスムーズにするには、その人そのときに適した総合的な対策が必要といえます。
タイプとして、ストレスが多く気と血が滞った「気滞血瘀」、よい血液が不足したためにおきる「血虚血瘀」、血を流すパワーの不足から滞った「気虚血瘀」、冷えから血流が悪くなった「寒凝血瘀」、代謝されない汚れた水分と一緒になった「痰瘀互血」、伝染病や食生活などから熱をもった「瘀熱」などが、店頭で多いということを確認しました。そして、それぞれに適した対策の処方を整理・復習しました。
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| 活血薬についてのポイント |
活血薬として、繁用する処方については、私たちも度々勉強を重ねてきましたが、再度、ポイントを説明していただきました。活血薬の多くは、血のめぐりをよくする働きを中心に、気のめぐりもよくする作用もあり、体内で効率よく働いてくれます。現代の研究では、血管保護や血栓を溶かす作用などが確認されているものもあります。
そして、活血薬の多くは、作用のバランスがとれているのももちろん、温めたり冷ましたりといった性質のバランスもよく、心系、肝系に作用するのが特徴です。中医学では、「心」は血脈を司る、「肝」は血を蔵しまた疎泄を司るといい、血液は心肝に集まると考えます。したがって、心肝系に作用するということは、心や肝の病気や不調を整えるのに最適の処方といえるのです。こうした中医学の観点からみても、活血薬の処方が優れているのはもちろん、現代医学の視点からのデータも蓄積されており、まさに活血薬は、中医学・現代医学の結合の賜物といえるでしょう。
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| 活血薬の組み合わせや使い分け |
最後にさまざまな種類の活血薬の、使い分けを復習しました。それぞれの処方の特徴やどういった疾患により効果的かということを整理していただきました。使い分けることによって、より、瘀血に対する対応がきめ細かく適切にできるかと思います。
今回の講座を通して、改めて現代社会における活血の重要性、処方のすばらしさ、品質へのこだわり、応用範囲の広さなどを再認識しました。中医学のすばらしい発想である未病先防にも、活血薬は不可欠なものと思います。多くの方の健康に役立てていただけるよう、研究会としても勉強と啓蒙を続けていきたいと思います。
詳しくは、お近くの栃木中医薬研究会加盟店まで、お気軽にお問い合わせ下さい。 |
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テーマ・・・陰虚(水・血の不足)
「陰」の不足を改善するために「気」を補う効果が生かせる生脈散(麦味参顆粒)
報告者・・・大熊薬局 大熊俊一
栃木中医薬研究会の2009年3月の定例会では,中医学講師の陳志清先生に,「陰虚」に関連する疾患の基礎改善および予防に活用する方剤として,生脈散(麦味参顆粒)を中心に,六味地黄丸の加味方剤(八仙丸,杞菊地黄丸,瀉火補腎丸,耳鳴丸)や天王補心丹も含めて,新たな視点からの方剤学の講義をしていただきました.
中医学の理論が,中成薬を扱う現場での各会員の経験をいかに明快に解釈し,また,様々な相談者に対する実際の応用をいかに正しく導くための頼りになるか,あらためて学び直すことができた有意義な勉強会でした.
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| 生脈散の活用経験 |
陳先生の講義に先立ち,生脈散の顆粒製剤として麦味参顆粒を扱ってきた薬局・ 薬店として,成功例・失敗例や,どんな疾患や状況に活用できるか,各自の経験と印象などを会員どうしで出し合いました.
単なる感冒から通・入院治療の必要な病気まで含め,広く発熱性・消耗性疾患の 治癒後の体調回復とか,「心」や「肺」の弱まりに関連のある慢性疾患の長期療養者や病弱な高齢者の体調維持などは,体力(「気」)と体液(「津液」)を補う効果のある
生脈散の活用対象として,相談数・愛用者数が多く,劇的な回復例などの話題にも事欠かない分野と言えましょう.
仕事のストレスが多く,慢性疲労を訴える40〜50歳代の男性の「気」が不足し やすい体質を改善する場合に,潜在的な「精」の不足も考慮して参馬補腎丸などの服用を勧めたいと思っていても,実際には,「陰」が不足しやすい体質も併せ持つ
人が多く,複数の中成薬の併用が経済的理由などで許されなければ,「気」と「陰」を補う生脈散を改善の第一歩として選ぶ機会が多いのも事実でしょう.
女性の場合でも,不妊症や更年期障害などの基礎改善の過程において,様々な 生活要因で変化する体調の要素の中に「気」と「陰」の不足がいっしょに出現することはよくあることです.このような局面に,体調を調整するための有力な補助的手段
として生脈散が活用できることは,多くの会員の共通の認識のようです.
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| 人体の3要素「気」・「血」・「水」の役割を考える |
以上のような実情を踏まえて,陳先生の講義へと移りました.中成薬の効きめを 説明するには,まず,人体生理の仕組みを考えることから始めなければなりません.漢方では,人体は「気」・「血」・「水」という3要素から構成されると考えます.「水」を
この意味で用いるのは日本漢方に独特な表現ですが,日本では広く一般に知られた表現でもあり,中国漢方(中医学)における「津液」と「陰」の両方の性格をもつ第3
の要素の設定は説明にも好都合な面があるため,陳先生もあえて「水」の理論を採用しました.生脈散は「気」と「水」を補う方剤ですが,中医学の理論によれば,さらに,
「血」の不足や停滞の改善にも役立つと考えることができます.なぜでしょう?
「気」・「血」・「水」は体内にある3種の物質要素を表しますが,現代科学的な物質の 概念とは違い,体内で働く3種の機能要素を象徴する意味合いが強いと言えます.
「気」の機能は,体内のあらゆる仕組みを活発化させ,維持する力を与えることです. 具体的には,体内で使われるべき物質やエネルギーを作りだし,全身に流通・供給させ,各組織における物質やエネルギーの代謝を進め,一方,物質やエネルギーが
むやみに体外に放出されないように,また,体外から異物や病原体が侵入しないように守るなど,様々な活動の仕組みを動かし支える力になるのが「気」の働きです.
「血」はあらゆる物質を全身に流通させる実際の担い手で,各組織に栄養素や水分を供給する機能があります.「水」の機能は各組織における内部環境としての体液を
十分に維持し,休養の仕組みを安定させ,活動の仕組みが行き過ぎないように抑制をかけて静めることです.このように,「気」・「血」・「水」の役割を噛み砕いて説明
していくと,相互の関係も自ずとわかってきます.
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| 「気」・「血」・「水」の相互の関係 |
人体内の「気」・「血」・「水」は相互に依存する関係にあります.各機能を正常に 果たすためには,3要素の相互の協力が必要です.上記のように,「気」は体内のあらゆる物質の生成・流通・分布・代謝・保持に不可欠です.したがって,「血」と
「水」という物質を体内で作りだし,全身の隅々にまで送り込み,役割を果たさせるためにも「気」の協力が不可欠で,さらに,「血」と「水」の新陳代謝を順調に進めつつ,
無用に体外に失われないように保つためにも,十分な「気」の働きが必要です.
逆に,「血」や「水」が不足すると,各組織への栄養供給が不十分で,内部環境の 体液条件も悪くなるわけで,「気」の働きの停滞・失調を引き起こし,または,「気」の機能に抑制が効かず,過亢進・オーバーヒート状態へとつながります.
「血」は「水」を原料の一つとして作られ,「血」と「水」はともに脈管内を循環して栄養素と水分の供給の役割を担っています.現代医学においても,正常な血液循環
のための血中水分量の重要性が認識されていますが,「水」は「血」の一部とまで言われるような,相互に依存し協力し合う密接な関係にあります.このため,「水」
が不足すれば,「血」の不足や停滞を引き起こしやすく,回復しにくい条件を与えることにもつながると予想できます.
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| 理論から予想できる生脈散の作用 |
生脈散の3種の配合生薬から1字ずつ取って付けた「麦味参」の名称は,字の配置 がそのまま,人体の2要素にまたがって作用する配合のあり方を象徴しています.麦・味・参の一方の端にある人参は,甘味と温熱性で補益して活発化させる薬性から,「気」の働きを助ける作用をもたらし,他方の端にある麦門冬は,甘味と寒涼性で補益して安定化させる薬性から,「水」の働きを助ける作用をもたらします.両者の間にある五味子は,酸味で収斂して保護する薬性から,「気」と「水」の両方の働きを助けるための補佐になります.対称な配合がバランスのとれた薬効につながります.
「気」・「血」・「水」の相互の関係を意識しながら生脈散の作用を考えると,特徴を生かした応用領域が視野に広がります.過労・病後・虚弱・高齢のために体力・免疫力・内臓機能などが低下した状態に対して,活動の仕組みを支える「気」を補いつつ,オーバーヒートにならないように,休養の仕組みを保つ「水」も補います.あるいは,猛暑・運動による発汗で脱水を起こした状態,体質・習慣・持病で水分が不足しがち,皮膚・粘膜が乾燥しやすい状態に対して,「水」を補って各組織を潤すとともに,「気」を補って潤いを必要な部位にまで届けて保つための力を与えます.以上が,生脈散の直接的な作用から考えられる基本的な適応対象です.
また,「血」の不足や停滞を改善する場合でも,「気」や「水」の不足が「血」の回復や流れの正常化を阻んでいる状況では,生脈散が改善のための有力な手段になります.さらに,「血」の不足や停滞から起こる疾患を予防する意味で,「血」の生成・流通・保持の働きを支える「気」を充実させ,「血」が安定した役割を果たすための環境条件を整える「水」も充実させることで,生脈散の長期の服用が健康維持に役立ちます.
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| もう一つの適応対象「陰虚」とは何か? |
中医学における生脈散のもう一つの適応対象の表現に「陰虚」があります.日本では「陰虚」の正しい意味は広く知られていません.そこで,「陰虚」の体質要素をもつ人が少なくないにもかかわらず,その健康への影響,注意すべき用薬,改善の方法など,ほとんど理解されず,意識が高まっていないのが日本の現状です.
「陰虚」とは「陰」の不足を意味しています.「陰」とは,人体を構成するあらゆる物質や働きの中で,「陽」的なものと対比して捉えられるべき,「陰」的な物質・機能要素を表しています.これまで説明してきた「気」・「血」・「水」の中では,「血」と「水」が「陰」に属する物質要素です.活動・休養,動かす・静める,活発化・安定化と表してきた機能や働きの中では,休養・静める・安定化の働きが「陰」に属します.したがって,「陰虚」は,人体の「血」と「水」が不足し,各組織の栄養素と水分が消耗した状態です.同時に,休養の仕組みや,静めて安定化させる働きが弱まるために,活動の仕組みや,動かし活発化させる働きを抑制できず,各組織の機能が過亢進・オーバーヒートしやすい状態でもあります.症状としては,皮膚・粘膜の乾燥や舌上の裂紋のような,栄養と潤いの消耗の現れと,のぼせ・ほてり・紅潮のようなオーバーヒートの現れが同時に見られることが「陰虚」の状態の特徴です.
「陰虚」を改善するための代表方剤は六味地黄丸です.これは地黄を主薬とする方剤で,「腎」に蓄えられている生命力の根源である「精」の減少に起因する「陰」の不足を適応対象の中心にしています.男性は40歳,女性は35歳以上になると,誰でも「精」は減少に転じるとされ,影響は「肝」や「心」にも及ぶので,各系統に派生した「陰虚」の付随症状が現れます.それに対応して,適切な生薬を配合した八仙丸,杞菊地黄丸,瀉火補腎丸,耳鳴丸,天王補心丹などを使い分けることができます.
生脈散は,狭義では「心」と「肺」が主な適応範囲ですが,「陰」の生成・分布・保持を助ける「気」も補う特徴を生かすことで,「肝」や「腎」の系統の「陰虚」の改善にも役立てることが可能で,活用を待っている広範な分野が開けていると言えましょう.
詳しくは、お近くの栃木中医薬研究会加盟店まで、お気軽にお問い合わせ下さい。 |
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テーマ・・・痰飲 「臨床で応用範囲が広く、使いやすい黄連温胆湯(星火温胆湯)」
報告者・・・漢証堂薬局 国府正英
栃木中医薬研究会の2009年2月定例会では、黄連温胆湯(星火温胆湯)について中医学講師の包海燕先生に講義をしていただきました。全身の痰が使用目標になりうることなので、痰飲を復習することからはじめます。漢方では病気を考える際に、まず病気の性質の種類を鑑別することから始めます。
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| 気・血・水(津液)とは |
体のエネルギー源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの体を維持する基本的物質である3つが体内で量が十分で、流れがスムーズであることが、体を正常な状態に保つことなのです。
もし、これらのひとつでも、不足してしまったり、流れが停滞してしまうと体に変調をきたし、様々な症状がでてきます。
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| 気・血・水(津液)の病理状態には 基本的に不足または停滞の二つ |
気が不足すれば気虚
気が停滞すれば気滞
血が不足すれば血虚
血が停滞すれば瘀血
水が不足して乾燥すれば陰虚
水が停滞すれば水滞(湿・飲・痰)
身体を維持する基本的物質である気・血・水(津液)の何処かにトラブルがあるかを明らかにし(気血津液弁証)、更にこの病気が冷え傾いているか、熱に傾いているかを明らかにしなければなりません。
これを「定性」と呼びます。
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| 臓腑の働きとは |
五臓六腑が体を維持する基本的物質である気・血・水を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているものです。この気・血・水のトラブルがどの部位(五臓六腑)にあるかを明らかにしなければなりません。
これを「定位」と呼びます。
まず「定性」をし、次に「定位」を弁証して使用する漢方薬を決定する方法です。
痰飲は正常な水(津液)が停滞して病的な水に変化したものですから
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| 津液(しんえき)とは |
体を維持する基本的物質の一つで、「体内の全ての正常な水液」で、ある人は中医学の津液を体液として考えています。汗・唾液・胃液・尿などの分泌物や排泄液も含まれる。一般的には中医学での「気・血」を重要視する傾向があるが、津液もかなり重要であると私は考えています。
津液の「津」はさらさらしたもので、「液」は津が熟したもので、比較的濃いもの
【津液にはいくつかの機能がある】
1、血の生成に関与する。
2、臓腑・四肢・筋肉・皮膚・骨・爪・毛髪・眼球等を滋潤し、関節を円滑に動かし、脳髄・骨格を栄養滋潤すること。
3、暑ければ汗孔を開いて汗を出し、寒ければ汗孔を閉じて発汗を抑え(この場合尿量が増えるのだが)環境への適合を手助けする。
津液の病証には、津液不足(陰虚)と水液停滞(湿・飲・痰)がある。
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| 水液停滞(湿・飲・痰)とは |
脾胃・肺・腎・肝・膀胱・三焦での何処かが機能失調した結果、水(津液)が停滞して病的な水となったもので、急性の風(外感)などは別として、一般的な慢性病で内臓のトラブルによりできた湿・飲・痰は、水の性質からネバネバ・ベトベトして取りづらくて、再発しやすいと特徴があります。
湿が聚まると飲となり、飲が凝固すれば痰となります。簡単にいえば停滞した水液の濃度で、水の邪の性質を持ちながら、湿が一番サラサラしており、少し濃くなったものが飲で、固まったものが痰となり、湿・飲・痰では、治療方法が異なります。
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| 日本人は中医学での痰ができる環境で生活している。 |
日本には「あとは野となれ、山となれ」という言葉があるように、何も手入れもせず放っておいても、草や木が茂ってしまうほどの湿気が十分にある環境に囲まれています。
また湿気が一ヶ所に留まると「ネバネバ・ベトベト」という性質を帯びるようになり、体にいやな影響を及ぼしし始めます。
飽食の時代でもあり、甘いものや高カロリーなどの食生活も痰を生む一つの要因(メタボリック・シンドローム)となります。
ストレスによって中医学での肝の機能に失調が起こり、水の流れに影響をして痰にもなります。
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| 痰とは |
中医学では、気管支から出る目に見える痰と、目で確認できない体の中にある痰の二種類があり、目に見えない痰があるかは、舌の状態や患者さんの自覚症状などにより診断しなければならない部分が難しい。
温胆湯
主治・・・悪心・嘔吐・いらいら・口が苦い・驚きやすい・動悸・痰多・胸苦しい・めまい・てんかん発作・舌苔が微黄膩・脈は滑あるいは弦でやや数など。(中医臨床のための方剤学より)
気管支から出る「見える痰」はわかりやすいが目で「見えない痰」とは
□体全体では・・・太りやすい(脂肪も痰の一種)
□頭にあれば・・・めまい、不眠、頭痛、健忘、鬱的(自律神経の乱れ)
□咽にあれば・・・咽の痞え
□胸にあれば・・・動悸、胸苦しい
□胃にあれば・・・むかつき、ゲップ
□腸にあれば・・・お腹の張り
□足にあれば・・・重だるい
□血管内にあれば・・・中性脂肪
など頭から足まで痰はあるものです。
星火温胆湯とは組成から考えれば使用しやすい処方
薬の性質から考えれば
半夏・陳皮・生姜・・・温性(温める)
茯苓・甘草・酸棗仁・・・平性(温っめも冷しもしない)
竹茹・枳実・・・微寒性(わずかに冷やす)
黄連・・・寒性(冷やす)
使用ポイント
口の中の苔がベットリまたは舌全体がしっとり(滑)+症状
痰は陰邪であり、温性で痰を取る半夏・陳皮の化痰薬が必要であり、また微寒性の竹茹の化痰薬が入っており、冷やす作用の強い黄連はわずか1gしか入っておらず、全体的には温性の薬が中心にしているが、わずかの寒性の薬が入ってことにより、穏やかな処方となっており、基本的にはすべての痰を取ることができます。
ただ、黄連温胆湯は水分が停滞してできた痰を取る処方なので、水分が不足した陰虚がある場合には、基本的には使用しないほうがよい。
内傷病(目で見えない痰)
中医学での水分が停滞した病的な痰は、全身にあり、例えば脳に痰がれば、脳梗塞や認知症やてんかん発作やめまいや鬱となる可能性があり、咽に痰があれば咽の痞え(梅核気)となり、胸に痰があれば心筋梗塞の原因となる可能性があり、胃に痰があれば、むかつき・ゲップとなり、足に痰があれば、重だるいなどとなります。
また、中医学での痰は、現代医学での「脂肪」も含まれているとしており、中性脂肪も痰の一部であり、メタボリック・シンドロームや高脂血症も痰が重要な原因とも考えられます。
化痰薬の代表的な温胆湯の応用範囲が広く、黄連温胆湯は温胆湯の加減方であるので痰があれば使用できるのではないでしょうか。
詳しくは、お近くの栃木中医薬研究会加盟店まで、お気軽にお問い合わせ下さい。 |