No.5 「鹹(かん)味」の生薬は負担にならない活用を

2012-11-28

 「鹹味」とは塩からい味のことですが,鹹味の生薬は塩化ナトリウム(食塩)が主成分とは限らず,広範な種類のミネラルを豊富に含む,様々な地中の鉱物,海産の魚介類・海藻類,陸生の哺乳類・爬虫類・昆虫などがあります.

 漢方の薬性理論によれば,鹹味の生薬には柔軟化・滋養性の薬性があります.服用しても吸収されず腸管内に留まるものもあれば,吸収され血中に入るもの,組織・細胞の内部にまで取り込まれるものもありますが,いずれも各所に水分や栄養素を引き入れて保持・貯留します.このため,便の水分を増やし軟らかくする,血中水分を増やし循環を改善する,しこりを軟化・消失させる,生命維持・自己保存の機能を支える「腎」系統の組織を滋養し衰えを回復するなどの薬効を発揮します.

 鹹味の生薬の副作用としては,多量服用時の過剰な塩類作用による下痢(「芒硝」など)と高血圧(「食塩」のみ)のほか,生命の根源にまでしみ込むような濃密・重厚な滋養性ゆえに,胃腸など体内の働きへの負担となり,消化不良やアレルギーを起こすこともあります.

 副作用なく鹹味の生薬を活用するためには,「右帰丸」や「左帰丸」の成分構成が参考になります.「腎」を補う基本処方「六味地黄丸」の主要な3成分である甘味の「地黄」・「山薬」と酸味の「山茱萸」に加え,鹹味の「鹿角」・「亀板」が配合されています.甘・酸味で総合的に体内の働きを助けて「腎」を補益する基盤の上に,鹹味の滋養性を無理なく生かしているのです.


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