No.73 消化を助ける3種の天然素材の薬性

2012-12-06

 消化とは,飲食物に含まれる糖質・タンパク質・脂質などの栄養素を体内に吸収されやすい形に変えることです.現代医学はミクロな視点から,消化管内に分泌される消化液に含まれる酵素が主要な役割を果たしていると考えます.それで,人間は繊維素を分解する酵素を持たないから,野菜を消化しにくいとか,乳糖を分解する酵素が少ないと,乳製品で下痢するなどと説明します.一部の消化酵素は精製され,消化薬として使われています.

 漢方では,消化を助ける様々な天然素材を「消導薬」と総称します.「山楂子」・「麦芽」・「神麹」が代表的です.これら3種の「消導薬」からなる処方として「三仙散」があり,さらに他の生薬を配合した代表処方として「保和丸」が知られています.漢方はマクロな視点から,消化は,飲食物を消化管に受け入れ,下方へ送る働きと一体の機能で,栄養素の吸収・代謝にも影響を及ぼす過程であることを重視します.呼応するように,「消導薬」で改善できる適応症は,狭い意味での消化不良だけではなく,消化管の運動や,吸収された栄養素の代謝に関わる症候までの広がりがあります.

 「三仙散」を構成する「山楂子」・「麦芽」・「神麹」は,果実・発芽種子・発酵穀物からなります.個々の酸味や香気と,共通する甘味・温熱性で,消化・吸収・代謝を担う「胃」・「脾」を守り,機能を活発にする薬性があります.飲食物の消化を助け,栄養素が体内の重荷となって有害化することを防ぐのに役立ちます.
 
大熊薬局 大熊俊一先生<大熊俊一 オオクマ トシカズ>
1980年 東京薬科大学卒業。薬剤師試験合格。
1981年 同大学第2薬化学教室助手。
1982年 同退職後、研究生。
1987年 同大学に学位論文を提出し、審査・試験に合格し薬学博士を取得。
1991年 有限会社大熊薬局代表となる。
掲載紙名:両毛新聞(3ヵ月に1回)(No.47までは月1回)


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