No.84  「腎」の「精」の蓄えを補充する切り札

2015-09-09

 漢方では,人体を構成する「気」・「血」・「水」の虚実による,病気につながる各人の体質の要素をしっかり把握し,健康な体の建て直しを図るため,漢方処方を組み立て,食事や生活のあり方についても見直します.

 体液の恒常性維持・生殖・免疫など,生命存続のための基礎を支える「腎」には,その原動力となる「精」が蓄えられています.「精」は全身の構成要素を保つため,転化して減少を補う緩衝作用があります.加齢などで「精」が減少すると,「気」・「血」・「水」とも減少しやすくなり,体質の構成も変化します.漢方はこの変化に対応しつつ,「精」の補充も図ります.

 「精」を補充できる生薬に「哈士蟆油」があります.ハシマという蛙の輸卵管です.産卵前から成長まで支える秘められた力を活用する知恵です.水で膨潤するゼラチン様素材で,油状光沢を,「精」をつける生薬の特質と捉え,「油」を尊称とした生薬です.穏やかな薬性で,ミネラル分を反映する鹹味があり,おそらく浸透圧の効果が働き,「腎」の組織に特異的に水分と栄養分を引き入れ,「精」を直接充填するような優れた補充(「填精」)作用があります.

 「哈士蟆油」はまた,「肺」を潤し「陰」を養います.「肺」の範囲は呼吸器,肺循環から全身,皮膚・毛髪に及び,休養を象徴する「陰」の働きで組織を癒し,「精」の補充も容易にします.


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