No.11 「沈降性」という薬性をもつ生薬

2012-11-28

 「沈降性」とは文字どおり,沈める・降ろす薬性,つまり,上から下へ,または,表面から内部への方向性をもった薬効のもとになる薬性です.沈降性の生薬を服用すると,のぼせ・上気・逆上のような神経系の症状から,上げる・もどす・もたれ・つかえ・下がらない・げっぷ・しゃっくり・便秘などの消化器症状,咳・呼吸困難などの呼吸器症状,尿量減少などの泌尿器症状まで,あらゆる意味で,下に落ちず上に逆行する,中に入らず外に戻す症状を改善します.また,他の薬効を体の内部や下部に到達させるのにも役立ちます.

 たとえば,神経症・心身症・自律神経失調症などで興奮症状が激しい場合に,「竜骨」・「牡蠣」・「磁石」などの生薬の沈降性で鎮静させる薬効を生かした処方「柴胡加竜骨牡蠣湯」・「柴磁地黄丸」が使われます.ストレスによる消化器などの内臓機能の失調には,「厚朴」・「川楝子」・「枳殻」・「沈香」・「木香」・「陳皮」の沈降性で緊張・痙攣を解く薬効を生かした処方「舒肝丸」があります.呼吸器症状に「杏仁」・「蘇子」・「半夏」・「前胡」・「厚朴」の沈降性を生かした「麻杏甘石湯」・「蘇子降気湯」,泌尿器症状に「牛膝」・「車前子」の沈降性を生かした「牛車腎気丸」があります.関節痛・神経痛の改善効果を下肢に到達させるため「牛膝」の沈降性を生かした処方「独活寄生湯」もあります.

 沈降性の生薬の副作用についても,なによりこの薬性をよく理解し,薬性に逆らう無理な薬効流用を避け,必要に応じて反対の薬性(昇浮性)の生薬を配合し調整すれば防げます.


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