No.16 全身の栄養バランスを改善する薬性

2012-11-28

 現代社会では,栄養過多による肥満・糖尿病・高血圧などが問題なので,単純に体脂肪・血糖・血中コレステロールなど過剰な栄養素を減らす薬や食物成分の作用ばかり注目されますが,一方で組織の栄養不足をともなう代謝失調が基礎になることに留意すべきです.

 漢方では,顔・舌の血色,肌のつや・潤い,爪・髪の性状と,筋肉・神経・器官の機能状況から,組織の栄養不足を見逃さないようにします.どんなに栄養摂取しても,末梢に送り込む血流が少なければ,組織へ栄養供給が不足し,その意味で「血」の不足と表します.この改善には,「熟地黄」・「当帰」・「芍薬」・「阿膠」・「何首烏」・「竜眼肉」などの生薬の甘味の補益性,酸味の収斂性,辛味の疎通効果を活用した処方「四物湯」・「当帰養血膏」・「帰脾湯」・「十全大補湯」・「参茸補血丸」で,組織への血流を増やし栄養供給を回復します.

 組織に送られた栄養素は,休養態勢では構成要素として蓄えられ,活動態勢ではエネルギー源として血中へ動員されます.このバランスが悪いと,血色よく紅潮ぎみで栄養十分に見えて,実は蓄えが消耗して組織の分解が過熱ぎみの反映で,「陰」の不足と呼ばれます.この改善には,「熟地黄」・「山薬」・「枸杞子」・「亀板」・「鼈甲」・「玄参」・「沙参」・「玉竹」・「麦門冬」・「西洋参」などの生薬の甘・鹹味の滋養性,寒涼性の抑制効果を活用した処方「六味地黄丸」・「杞菊地黄丸」・「八仙長寿丸」・「天王補心丹」・「養陰清肺湯」・「生脈散」で,栄養素の不要な動員を抑え,必要な蓄えを回復します.


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