No.48 生命力を消耗させる「虚熱」を抑える処方

2012-11-28

 「知柏地黄丸」は「腎陰虚」に適応する漢方薬で,清代の医学叢書を出典としていますが,宋代の名医が考案した「六味地黄丸」の加味処方の一つです.加味された「知母」と「黄柏」は,激しい「虚熱」を緩解する配合生薬の定石で,金・元代の名医が他の処方のために考案した薬対です.これを取り入れた「知柏地黄丸」は時代を超えた名医の合作処方とも言えます.

 「滋陰補腎」の薬効を生むのが「六味地黄丸」の6生薬です.「熟地黄」・「山茱萸」・「山薬」は,甘・酸・渋味と温熱性による滋養・補益・収斂の薬性があり,「沢瀉」・「牡丹皮」・「茯苓」は,淡・苦・辛味と寒涼性による排水・抑制・発散の薬性があるのが対照的です.生命維持のため働く「腎」に効くのが共通で,心身の態勢を自律調節する「肝」,飲食物を消化吸収する「脾」にも効く生薬を配することで,休養態勢で蓄えられる「腎」の栄養と潤いの要素「陰」を,総合療法的に無理なく穏やかに回復させます.

 「清熱堅陰」の薬効を加える生薬が「知母」と「黄柏」です.苦味と寒涼性による抑制・浄化の薬性が2生薬に共通ですが,滋潤と乾燥の薬性が対照的です.「陰」の不足を体内で代償しようとする異化作用で過剰に産生される熱「虚熱」を2生薬で抑えると同時に,熱代謝にともなう水分の消耗を「知母」で,「腎」の体液調節機能の減退による水分の停滞を「黄柏」で,それぞれ防ぎます.こうして,機能的な亢進を抑え,物質的に過不足がないように絶妙なバランスをとって,組織を堅固に守ります.


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