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No.66 「熱毒」の解消に役立つ身近な草花の薬性

 清代の漢方薬に「五味消毒飲」という処方があります.この処方を構成する5生薬は全て野山に咲く草花や小低木です.タンポポ・スミレ・スイカズラ・イヌホオズキ・シマカンギクという,日本でも四季を彩る野草として古代から親しまれてきた5植物の近縁・関連種の花あるいは全草が,「五味消毒飲」の構成生薬として厳選され,化膿をともなう皮膚病や感染症に使われる代表処方の一つとして現代でも活用されています.

 漢方では,皮膚や粘膜に発赤・発疹・腫れ・熱感・痛み・化膿を起こしているとき,そこに「熱毒」が生じたと考えます.これを解消するために役立つ生薬は「清熱解毒薬」と呼ばれ,身近な草花に数多く見出され,薬性が長年研究され,「五味消毒飲」へと結実したのです.

 スイカズラの花蕾は「金銀花」という生薬として「五味消毒飲」の主成分になっています.皮膚・粘膜など体表に関連する「肺」の系統に作用し,過熱や炎症を鎮める寒涼性と,芳香・軽質・甘味に特有の穏やかな発散と保護の薬性が,体を消耗させずに,病原体と病理産物を外に追いやる効果につながります.これに加えて,シマカンギクの花「野菊花」,タンポポの近縁種の全草「蒲公英」,スミレの近縁種の全草「紫花地丁」,イヌホオズキの全草(「竜葵」)に薬効的に近い生薬「紫背天葵子」が配合されています.いずれも寒涼性と苦味に特有の抑制・清浄化の薬性が共通ながら,広範な系統に働く4生薬が,全身各部の炎症・化膿を解消する薬効を補強・補完する役割を果たします.