No.68 「湿熱」を解消する薬性を完備した生薬

2012-11-28

 漢方では,感染症や皮膚病で発疹を起こすのは,多くの場合,体内に「熱」が生じるためだと考えます.また,発疹の内部に滲出液がたまって水疱や膿疱になるか,ただれて表面が滲出液で湿潤(ジュクジュク)する場合には,「湿」という要素が「熱」と結びついた「湿熱」によって引き起こされている症状と捉えます.そこで,滲出の多い発疹をともなう皮膚病の漢方的改善には,「湿熱」の解消が必要です.

 「湿熱」の解消に役立つのは,苦味で寒涼性の生薬(「苦寒薬」)に特有の薬性です.薬性理論によれば,「苦寒薬」には沈降・抑制・乾燥の薬性があります.これら3薬性が連携すれば「湿熱」の解消へとつながります.火が炎上するように「熱」が体内を上方へ波及する勢いを止め,体表へと浮上して発疹を起こすのを抑え,「熱」自体の発生も抑えます.滲出液が体表にあふれるもとになる「湿」を内方へ集め,下方へ送って体外に排出するのを促進します.

 3薬性を完備した「苦寒薬」は「清熱燥湿薬」と呼ばれます.リンドウ科の植物リンドウの根茎と根からなる「竜胆」があります.古来日本でも知られる,強い苦味の特徴を比喩的に表す名称が付けられた生薬です.これを主薬として,シソ科コガネバナの根「黄芩」や,アカネ科クチナシの果実「山梔子」などを配合すると,「竜胆瀉肝湯」という漢方処方が構成されます.「肝」と「胆」に関連する部位の病変を中心に適応される処方ですが,滲出の多い発疹をともなう「湿熱」の要素を解消するため広範な皮膚病に使えます.


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