No.18 自律神経系の失調を回復する薬性

2012-11-28

 自律神経系の役割は,心身の活動/休養,覚醒/睡眠,興奮/安静,高揚/平安,緊張/弛緩など,人体の態勢・状態の転換に合わせて内臓・器官の機能を調節することです.脳内で湧き起こる感情・欲求や日内リズムに適合した身体の態勢を整えるため,自律神経系の媒介により,エネルギー源の肝臓における動員/貯蔵の切り換えが行われます.漢方では,この機能系全体を「肝」と呼んでいます.

 「柴胡」・「薄荷」・「香附子」・「欝金」・「青皮」・「香櫞」・「マイ瑰花」・「素馨花」・「白梅花」などの生薬は芳香・辛味があり,「肝」の機能連携の疎通をよくする効果(疎肝)につながります.強烈な香りや味の成分で「肝」系を刺激して,抑欝した感情を昇華させ,沈滞した心身のリズムを鼓舞し,自律神経系の過剰な緊張を解消し,ストレスを発散させるのに役立ちます.

 「当帰」・「芍薬」・「地黄」・「何首烏」・「桑椹」・「枸杞子」・「女貞子」・「旱蓮草」・「猪肝」・「蟻」などは甘味・酸味があり,「肝」の機能連携における,心身の態勢転換や内蔵機能の切り換えを柔軟にする効果(柔肝)につながります.甘味と酸味の成分に共通な,組織にやさしい保護・緩和の作用で「肝」系を養い,感情の激しい動きを和らげ,自律神経系の過敏な反応を防ぎ,栄養素の無用な動員を防ぎます.

 「逍遥散」とその丸薬製剤「逍遥丸」は,芳香と辛味の「柴胡」・「薄荷」による力強い疎肝の薬効と,甘味の「当帰」と酸味の「芍薬」によるやさしい柔肝の薬効を兼ね備えた名処方です.


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