No.33 咳を止める3系統の薬性

2012-11-28

 漢方では,多種多様な生薬の中に,咳止めの薬効につながる3系統の薬性を見出しています.これらを使い分けたり,組み合わせることで,咳の症状を伴う病態・体質を,巧みに無理なく治療・改善し,細心にバランスをとって副作用を予防しています.

 「麻黄」・「杏仁」・「桔梗」・「前胡」・「旋覆花」・「牛蒡子」・「蘇子」・「桑葉」などは「宣肺止咳薬」と総称されます.薬性として,辛味に特有の発散性と,苦味に特有の沈降性があります.広く全身にものを宣散し,下がるべきものを粛降させる,「肺」系の本来の生理作用の流れを回復し,咳反射亢進の緊張状態を発散・解除し,咳を止めます.「三拗湯」・「麻杏甘石湯」・「桑菊飲」など,止咳方剤の主要成分です.

 「五味子」・「五倍子」・「烏梅」・「訶子」・「銀杏」・「南天実」・「胡桃」・「山薬」などは「斂肺止咳薬」と総称されます.酸・渋味に特有の収斂性があります.宣肺とは反対方向の薬性で,表面を引きしめ,無用な放散・漏出・消耗を抑え,組織を保護して落ち着かせ,咳を止めます.「小青竜湯」・「生脈散」の補佐的配合成分です.

 「麦門冬」・「百合」・「黄精」・「百部」・「紫オン」・「款冬花」・「甘草」・「蜂蜜」などは「潤肺止咳薬」と総称されます.甘味と一部の辛味に特有の滋潤性があり,粘液不足・剥離・扁平化した気道粘膜を改善・修復し,被刺激性を少なくし,咳を止めます.「麦門冬湯」・「養陰清肺湯」・「八仙丸」など,体質改善的な方剤の成分です.


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