No.44 心身を浄化する漢方処方「温胆湯」

2012-11-28

 「温胆湯」という漢方処方は,唐代の総合医学書『千金方』を原典として,宋・元・明・清代にわたる加減処方の展開を経て現在に至る,「化痰」の代表処方のひとつです.「痰」は現代的な意味での気道に生じる痰だけでなく,体内のあらゆる流通経路に蓄積してじゃまになる病理産物を広く表します.全身の「痰」を無と化す(解消する)ことが「温胆湯」の目的で,3薬効の生薬構成によって実現されています.

 「燥湿化痰」という薬効のための配合生薬は「半夏」・「陳皮」・「茯苓」・「生姜」・「炙甘草」です.宋代に「二陳湯」という独立処方になった組合せです.「脾」(消化器系)への作用が共通で,辛・苦・淡・甘味の生薬が有する発散・乾燥・沈降・排水・補益の薬性で,余剰水分(「湿」)を無くし,消化器系の負担を軽減し,吸収機能を健全に保ち,「痰」をもとから絶ちます.

 「清熱化痰」という薬効のための配合生薬は「竹筎」です.「胆」への作用が特徴です.「胆」は現代的な胆道系だけでなく,「肝」と表裏をなす器官として,自然な感情を素直に行動に表すための自律機能調節系の一部と考えます.寒涼・滑性による清浄化・抑制・鎮静の薬性で,「胆」機能を失調させる「痰」の欝積を一掃し,心身の不安・焦燥・興奮・過熱を鎮めます.

 「破気化痰」という薬効のための配合生薬は「枳実」です.寒涼性とともに苦味に特有の沈降の薬性で,緊張・痙攣を解き,機能連携と流通の障害を打破し,「痰」の除去を助けます.


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