No.47 消耗や枯渇を防いで生命力を養う名処方

2012-11-28

 「八仙長寿丸」は明代の総合医学書を原典とする名処方です.宋代の「六味地黄丸」を基本として,加味された生薬「麦門冬」と「五味子」にちなんで「麦味地黄丸」とも呼ばれます.健康維持と抗老化のため基本処方の適応範囲をさらに「肺腎陰虚」へと展開させた,人体生理への深い洞察と緻密な薬性理論の結晶です.

 「滋陰補腎」の薬効を生むのは「六味地黄丸」を構成する「熟地黄」・「山茱萸」・「山薬」・「沢瀉」・「牡丹皮」・「茯苓」です.生命力を維持する「腎」への作用が共通で,心身の態勢を自律調節する「肝」,飲食物を消化吸収する「脾」にも作用する生薬を配して,甘・酸・渋味と温熱性による滋養・補益・収斂の薬性と,淡・苦・辛味と寒涼性による排水・抑制・発散の薬性で,心身の休養で蓄えられる「腎」の栄養と潤いの要素「陰」を穏やかに総合的に回復させます.

 「養陰潤肺」の薬効を加えるのは「麦門冬」で,外界から清気をとり入れる「肺」に作用します.甘味と潤質と寒涼性による滋養・補益・抑制の薬性で,呼吸器系の組織の栄養と潤いの要素を整えるとともに,動脈血を送り出す先の皮膚や内臓の組織も養い潤す効果があります.

 「斂肺帰腎」の薬効を加えるのは「五味子」で,酸味による収斂・摂納の薬性があります.全身に必要物を送り出す上源に位置する「肺」の組織を引きしめ,体液の恒常性を維持する下の関門である「腎」の機能をしっかりさせ,無用な放散や排出による消耗や枯渇を防ぎます.


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