No.64 抑制的な薬性で自律機能の連携を回復

2012-11-28

 「川楝子」という生薬は,日本でも温暖地に自生する,センダン科のセンダン(栴檀)として広く知られる落葉高木の近縁種の成熟果実です. 別名として,外見にちなんで「金鈴子」,味覚から「苦楝子」とも称され,漢方で活用されてきました.苦味で寒涼性の生薬に特有な沈降・抑制の薬性をもち,主に「肝」に作用します.

 「肝」は現代的には自律機能調節系に相当し,心身の活動や休養の態勢を整えるため,体内の各器官の機能を調節しています.「川楝子」の薬性は,「肝」からの過剰な命令による機能亢進を抑制し,緊張・痙攣を弛緩する効果で,管腔内を物が自然に上から下へ落ちるような流れの疎通を良くし,エネルギー伝達の流れの停滞も解消して,全身の機能を連携・協調させる「肝」本来の働き(「疎泄」)を回復します.

 「疎泄」を回復する生薬として多用されるのは,セリ科の「柴胡」です.希薄で芳香の生薬に特有な昇浮・発散の薬性で,「肝」の働きを活発化して「疎泄」を回復し,機能亢進や緊張を発散して解消する効果があります.「柴胡」の刺激的な薬性では,かえって病態を助長してしまう場合には,代替として,抑制的な薬性で「疎泄」を回復できる「川楝子」が貴重な存在です.「川楝子」を主薬にした代表処方は,宋代の「金鈴子散」です.現代の進歩した中成薬「舒肝丸」には,配合構成の中にこの処方が組み込まれ,ストレスなどによる自律調節系の失調から起こる,痛み・張りなど,消化器の連携不良の症状を中心に活用されています.


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